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世界の台所探検から「おいしい」を考える。

2021/6/10 ワインと暮らすメールマガジン



こんにちは

今日は「世界の台所探検」という本から世界の「おうちご飯」のお話を。

世界の台所探検家 岡根谷実里さんという方をご存じですか?

何をされている方かというと、世界各地の家庭の台所を訪れて一緒に料理をさせてもらっている方です。

特別なご馳走ではない「いつもの料理」を、一緒に作らせてもらう。

取材でも、食べ歩きでも、調査でも、修行でもなく、料理を通して人と暮らしに出会うための台所巡りをされています。

今回私が読んだ「世界の台所探検」という本は、そんな岡根谷さんが訪れた、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、中南米、中東の色々な国の普通の家の台所とその料理を紹介した本です。

この本で私が最初に開いたのはパレスチナの難民キャンプの台所のページでした。

そんな危ないところに女性が一人で?という驚き以上に、ここでは普通の人々はどういう食事をしてどういう暮らしをしているのだろう?という興味があったのです。

難民キャンプというからには銃弾が飛び交うような殺伐とした雰囲気を想像していましたが、パン屋さんやケバブ屋さんがあったり、人気店は人だかりだったり、子どもがいて、笑顔があり、まるで普通の街のような光景だったそうです。

でもやはりイスラエルとの関係で停電は日常茶飯事(なんと5時間続くこともあるそうです)、水が来るのは3~4週間にたった一度。

そんな不安定な環境でもどうにかして食事を作り、食べて笑って暮らす姿が描かれていました。

モルドバではチーズも野菜もワインも全部自家製が当たり前の一方、上海では料理をせずデリバリーが当たり前だったり。

「当たり前」も国によって全然違います。

どこへ行っても土地の暮らしを映した多様な料理があり、そこに社会や文化があります。

でも岡根谷さんが様々な台所を巡って気づいた一つの共通点がありました。

それは、おいしい食事の周りには笑顔が生まれ、にぎやかな笑い声が聞こえてくるということ。

そして、その食事はプロの料理人ではなく、そこで暮らす「普通の人たち」が作り出していること。

食卓を一緒に囲みながらどんな環境でも笑顔を作り出してしまう。

それが「おうちご飯」なのですね。

なんでこんな本を読んでいるかというと、今私は「おいしい」を研究しているからなんです。

最初は「おいしいワイン、心に残るワインって何だろう?」というシンプルな問いから始まったのですが、においや味わいの本から脳科学の本等を読んでいるうちに段々と食全般に興味が広がってきました。

話が壮大になり過ぎそうで困っているところですが、一言で言いますと、食の喜びを味わっているのは舌ではないのです。心、脳で味わっているのです。

私は、食べ物にしろワインにしろ「食べる(飲む)マインドフルネス」があるのではないかと思っています。

それが満足となり、記憶となり、健康にも通じるのではないか研究中です。

もちろん高級ワインや特別な食材、高度な調理技術があればおいしいのかもしれませんが、食やワインを味わう喜びの本質は「世界の台所探検」に見る「おうちご飯」にヒントがあるような‥

答えが見えずもがいてますが、いずれ何か形にしたいなと思います。

話を元に戻しますが、食べ飽きた、作り飽きたと感じる「おうちご飯」かもしれませんが、どんな人にとっても生きる糧であり元気の源なのですね。

日々のことなので手間や時間をかけられない時もありますが、簡単なものでもおいしく楽しく食べて(&飲んで)味わって、また明日を頑張りたいと思います。

今日も暑い中お疲れさまでした。

次回は6/20に送ります。

Nagareyama Wine Club

河田 安津子

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